ただ事実だけがある日々

事実と感想を切り分ける練習

外見パラメータを気にかける日

美容院に行って、前髪を作った。

髪を染めているので、根本が伸びてだいぶ黒くなっていた。したい髪型が決まらないので、いつも間隔が空いてしまう。いくつもの選択肢で迷うというのではなく、したい髪型がない。例えば、短く切るか伸ばすか、というレベルで決まらないのである。

だが今回、前髪は作ると決めて行った。私の顔は、いわゆる「中顔面」が長い。中顔面というのは、顔を縦に三等分したときの真ん中、眉から鼻先までの部分である(目から口まで、としているものもある。)。上顔面:中顔面:下顔面の長さが1:1:1だと美しい、とネット上の美容情報の記事などにはよく書かれている。長さの比較対象は「上顔面」「下顔面」なので、前髪で上顔面を完全に隠し、比較対象を消すことにしたのだ。

 

大学生のころ、クラスに特徴的な顔の男子がいた。彼は中顔面が長かった。彼は女癖が悪いところがあり、別れた彼女が腹いせに、彼にされた仕打ちを告発する怪文書をばらまいた事件があった。その文書は、彼のことを、名前を伏せる代わりに「ブサ男」と表記していた。

時はかわり、飲み会の席で、私がたまたまその男子の隣に座っていたとき、同じテーブルにいた中途編入の中年男性の生徒が、私とその男子の顔が似ている、と言った。「ブサ男」として告発されたその男子は、「女子に対してそれはさすがに可哀想だ」と言った。私は何も言葉が見つからなかった。当時は今と違って、美容院に行くたびにヘアスタイルの画像を見せ、暇さえあれば『美的』のメイクのハウツー記事も読みあさっていた頃だった。

 

容姿については、先日読んだばかりだが、『きりこについて』(西加奈子)という本がある。同級生から「ぶす」と言われて引きこもりになってしまう女の子・きりこの話だ。

自分も他人も、見た目が全てでもないが中身が全てだけでもなく、見た目も中身も、そしてこれまで生きてきた人生もひっくるめて、その人自身であると、きりこは理解する。

図書館で借りた本だったので、本は返した。だが備忘用に、私は『見た目』『中身』『人生』の3つを指標とするパラメータの画像を作り、メモアプリに保存した。

 

みとらじを聴く

ホットケーキを2枚解凍して朝ごはんにした。片方にはバターをのせる。もう片方には少し水あめをかけてみたが、あまり甘くはならない。

 

午前中、『居場所。』という本を読む。吉本の会長が書いた自己啓発本である。続けて『家康、江戸を建てる』も読んだ。こちらは少しずつ読み進めていて、もう最終章の途中だったのを読み終わった。いくつかの地名の由来を知る。

 

ごぼうが1本ある。千切りにしてごぼうだけのきんぴらを作った。ご飯を炊き、レタスサラダ(というよりちぎりレタス)ときんぴらでお昼にする。

ご飯は一人だが1.5合炊く。3杯分余るので、冷めてから冷蔵しておく。レシピのきんぴらのページにつけた付箋は外さずにおいた。

 

料理をしながら、『みとらじ』を聴く。Vtuberの月ノ美兎が不定期にアップするラジオ風の動画で、ゲストと1対1で対談するものだ。レオス・ヴィンセントがゲストの回を聴いた。月ノ美兎の動画を通じて知ったVtuberが何人もいる。

月ノ美兎は16歳の女子高生という設定を守りながらも、10年前、15年前くらいのネットカルチャーの知識があることを隠さない。『見た夢の話』とかいう留保をつけたうえで、18歳以上でないと入れない施設に行ったエピソードも話す。まだ見ていない月ノ美兎の動画はたくさんある。

 

 

争いごと

朝4時に起きて、ラグビーW杯の日本対イングランドを見る。

前半は4点差にとどめるも、後半で3トライを奪われて負けた。

イングランドの選手数人が苛立ち、流選手を囲んでどつくシーンがあった。小柄な流選手がどつき返す。流選手は身長166㎝だという。「気持ちも負けていません」と解説が言う。

前職で、揉め事に対応する場面が多かったことを思い出す。くいかかられたりなじられたり、言質を取られたりして、いつも心臓の鼓動が早まり顔が赤くなっていた。

 

試合が終わるとまだ朝の6時だった。

昨日焼いたホットケーキを1枚温めて食べ、また寝る。起きたら正午近い。

出張に出かける家族にリンゴをむいてあげた。9月も後半だが、今日も日差しが強い。

 

午後中ずっと『龍が如く0』を進める。街中の不良たちにケンカを売られ、暴力で倒していく。

ホットケーキ量産

朝からホットケーキを量産する。

ホットケーキミックス200gを2袋、合計8枚焼く。フライパンに油をしきたてのときはまだらに焦げめがつくが、一枚焼いたあとは平面にまんべんなく焦げ目がつき、分厚いどら焼きのようになる。

2枚食べて1枚は冷蔵庫に、残り5枚は冷凍する。朝ごはんの備蓄だ。

消費期限が明日までの卵を使いきることができた。

 

月ノ美兎さんがゲストと対談している動画を見る。

彼女の相槌の打ち方、話の振り方、かわし方、ツッコミ、コメントを、ときどき例文としてメモする。

『コンビニ人間』(村田沙耶香)という芥川賞受賞作がある。仕事ならずプライベートまで、徹底的にマニュアルに従っている女性の話である。コミュニケーションや雑談のマニュアルはない。だが、小学生のとき、友達の誰かになりきったつもりで話していた。そうすると友達ができた。大学生のときは、コミュニケーション能力を上げるため、最低でも月に何回、など自分に飲み会参加のノルマを課していた。帰宅してはよく泣いていた。当時飲み会で会った人で、今も連絡を取っている人は皆無だ。

 

マニュアルはない、と書いたが、『コミュニケイションのレッスン 聞く・話す・交渉する』(鴻上尚史)という本を読んでいる。まだ読みかけだ。コミュニケーションは、スポーツなどと同じように練習で上手くなるもので、「苦手だが好き」という状態でよい、という。

 

ソファで昼寝する。起きたら3時間たっている。

スマホには何の通知も来ていない。

 

今日もインドア/生存願望

観葉植物に水をやり、食器を洗い、洗濯をする。

『有吉くんの正直さんぽ』には今日も坂下千里子が出ていた。

 

Vtuberの月ノ美兎さんをチャンネル登録している。雑談やゲストを呼んで雑談をする動画を何本も見る。

自分で救急車を呼んで緊急搬送された話をする動画がある。美兎さんは、搬送されているとき生きて戻りたいと思っていた、と語っていて、動画のコメント欄にはそのことに感謝するコメントが複数ついていた。

アルコール依存の母親は、何年も前から「長生きしたくない」と言う。私が受験生のときには、「受からなかったら自殺しちゃうかも」と言った。今年になってから父親が倒れ、入院した。退院して帰ってきた父に、母は「先に死んであげる」と言う。父も私も、何も言わない。父親は母親のひとまわり年上で、もう80すぎだ。

 

『「毒親」の正体 精神科医の診察室から』(水島広子)という本を以前読んだ。「普通の親ならやってくれそうなこと」に対する期待を手放すことが必要である、と書いてあった。そしてその作業は、大切な人の死を受け入れていくときのプロセスと似ているという。メモアプリに書きとめてある。

 

昨晩作った鶏のつくねでお昼にする。半分残っていたズッキーニを輪切りにして炒めたものを添える。つくねの生地に使い切らなかったえのき茸を刻んでインスタント味噌汁に加える。

 

『龍が如く0』を進めた。

ゲームの合間にチョコレートとチーズを間食する。最近体重が増えている。運動した方がいい、と家族に言われる。龍が如くには飲食シーンが多い。月ノ美兎さんは、マクドナルドでセットを頼むときポテトではなくサラダを頼むと言っていた。

ムービーの間はコントローラーを触らなくてすむので、割り箸を口にくわえて口角を上げる顔のエクササイズや、筋トレをする。

消えゆく実家

今日も銀行窓口に行く。何年も使っていなかった銀行だ。

登録されている自分の情報は全てが古く、名前は旧姓、電話番号も住所も実家のままになっている。全て変更した。今では新規の口座を作る場合、原則として通帳を発行していないというので、通帳も止める。カードも再発行した。

情報が古いままの銀行口座はまだひとつ残っている。昔住んでいた地域の地銀の口座だ。

 

9月になったが、日差しが強い。

夕飯にショウガが必要なので、買って帰る。昼はそうめんを茹でた。氷水でしめる。ショウガはまとめてすりおろす。チューブのショウガより断然辛い。

 

メインで使う銀行を変えるため、クレジットカードに紐づける口座を変更する。家を出てから既に3回くらい転居しているが、実家の住所のままになっているカードがあった。これも変える。

このクレジットカード自体、実家に住んでいたころに使っていたデパートで作ったものだ。もうめったに行くことはない。カード自体も見直す。まずはカードの還元率や付帯保険などを比較したネット記事を読む。

 

両親が引っ越して、実家は数年前に取り壊された。その住所が登録されているものも、残りわずかだ。

仲直りとメロンチューハイ

朝いちばん、遠方に住む友人から他愛もない連絡が来た。午後からzoomでおしゃべりしようと約束して、家を出る。

登録した印鑑が分からなくなった銀行があり、窓口に行く。

今は印鑑を登録しないこともできると言われ、廃止する。ついでに紙の通帳も止める。キャッシュカードだけ旧姓のままになっていて、カードも再発行した。

奨学金の残額分をその口座に移す。

 

いつも行かないスーパーに寄った。鶏つくねの具材を買う。鶏ひき肉、えのきだけ。それから色々。目に入ったメロンチューハイもかごに入れる。

セルフレジを使う。酒類は有人レジでないと買えない、と書かれていた。しばし固まってから、酒以外のものをレジに通し、チューハイだけ持って再度有人レジの列に並んだ。

 

帰宅したが、「子供がまだ寝つかないから今日は通話できそうにない」と連絡が来る。zoomはあきらめ、また家を出た。

もう一軒銀行に向かう。苗字変更手続をしていない銀行口座があるのだ。オンラインで苗字変更ができるというが、暗証番号自体を忘れてしまいログインできない。

窓口は混んでいて、引き返した。帰り道の途中、「子供がやっと寝た」と連絡が来る。

 

帰宅後、友人とzoomをする。時差は16時間。

この友人とは、今年の夏、一緒に旅行に行く計画を立てたが頓挫した。彼女は計画を急ぎ、またコストをできる限り抑える選択をしようとしていて、私はすぐに決断することができなかった。

彼女の映像の横に並び、自分の映像が映る。はじめ少し自分の映像を見ていたが、非表示にする。

互いの配偶者のこと、共通の友人のこと、彼女の職場の上司や先輩のこと、人とトラブルになったこと、ポリティカル・コレクトネスのこと、SNSのこと。3時間も話した。

 

お腹が空いている。レシピ本の鶏つくねのページを開き、台所に立つ。ショウガを買い忘れたことに気づく。

買い置きの冷凍うどんがある。自炊をあきらめ、メロンチューハイの缶を開けた。